3月の誕生石:アクアマリン

海の輝きをイメージさせる水色の宝石

厳しい寒さを越え、春の息吹を感じ始める季節。3月の誕生石は、海水のような美しい水色の石・アクアマリンです。生命の源である海の輝きをイメージさせ、見つめているだけで癒しややすらぎを与えてくれます。

緑だけじゃない、アクアマリンとベリルの仲間

アクアマリンは、エメラルドと同じ鉱物であるベリル(緑柱石)の仲間だということはご存じでしょうか。
ベリルはギリシャ語で「海のような青緑の石」を表す「beryllos」が語源となっており、「緑」柱石という名前を持ちながら、カラーバリエーションが実に豊富なのが特徴です。淡いブルーに輝くものがアクアマリンと呼ばれ、ブルーが濃いものほど価値があるとされています。

アクアマリン以外にも、ベリルは色ごとに名前がつけられています。黄金色のゴールデンベリル、淡いピンク色のモルガナイト、無色透明のゴッシュナイトなどが有名です。
主にアメリカのユタ州で採れる真っ赤なレッドベリルは「赤いエメラルド」と呼ばれ、数が少なく大変稀少性の高い宝石として珍重されています。

海を渡る人々の安全のお守りに

「アクア(水)」「マリン(海)」という名前だけあって、この石が持つストーリーは海に関わるものが多く存在します。「海の精の宝物が浜辺に打ち上げられて石になった」というギリシャ神話や、「船乗りに恋をした人魚が流した涙が宝石となって打ち上げられ、それを船乗りがお守りにした」といったロマンチックな言い伝えが有名です。
かつては「海に投げ入れると、瞬時に溶け込んでしまう」とすら信じられていたといいます。

このようなエピソードから、古代ローマでは「アクアマリン=海の力が宿った宝石」と考えられていました。航海の安全・海難防止・豊漁を願うお守りとして、漁師や船乗りたちの間で人気があったのだとか。
現代でもヨーロッパを中心に言い伝えを信じる人は多いといいます。海でのクルージングを楽しむときなどに身に着けていれば、波の水しぶきを映してより美しく輝きそうです。

日本でもアクアマリンが採れる?

アクアマリンの産地としてはブラジルがもっとも有名です。特に、かつてブラジルのサンタマリア・ジ・イタビラ鉱山(現在は閉山)で採掘されていた深いマリンブルーの宝石は、アクアマリンの中でも最高品質とされていました。
近年は、他の鉱山でも同等の高い品質を持ったアクアマリンが採掘されており、一般的に「サンタマリア」や「サンタマリア・アフリカーナ」と呼ばれています。

その他、ナイジェリア、パキスタン、アフガニスタン、中国にも鉱山がありますが、実は日本でもアクアマリンが産出できる場所はあります。
ベリルが採れる岐阜県中津川市苗木地方、茨城県桜川市山の尾、滋賀県大津市田上山、福島県石川町などで実績がありますが、透明度が低い、量が多く採れないなどの理由で、残念ながら宝石としての価値は低く、流通はしていません。
鉱山に赴いて鉱物採集をすることもできますが、やはりジュエリーショップなどで購入するのが一般的な楽しみ方です。

アクアマリンのお手入れ方法

アクアマリンは比較的硬度が高く、キズがつきにくく、どちらかというと扱いやすい宝石です。
普段使いのジュエリーとして、気軽に身に着けることができますが、着用後に丁寧にお手入れすることで、輝きをより長持ちさせることができます。

普段のお手入れ

柔らかい布で全体をやさしく拭きます。

特別なお手入れ

中性洗剤を溶かしたぬるま湯にアクアマリンを入れ、柔らかいブラシでやさしくこすって洗いましょう。
また、振動にも強いため超音波洗浄機の使用も可能です。いずれの場合も終わったら真水でよくすすぎ、柔らかい布で水気を拭き取ります。

お手入れの注意点

熱への耐久性もありますが、高温になる場所や長時間日光が当たる場所をできるだけ避けて、箱にしまうなど保管場所・保管方法に気をつけましょう。

爽やかな色とロマンチックなエピソードを持つアクアマリン。愛情・友情・夫婦・家族など、さまざまな対人関係に潤いをもたらすとも伝えられています。透明感のある水色なので、男女問わずおしゃれを楽しめそう。
小ぶりのものであれば、男性への贈り物にもおすすめです。

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