2月の誕生石:アメシスト

真実の愛を守りぬく紫色の宝石

あたたかい春を目の前に、一層寒さが厳しくなる2月は、献花・献杯で浄化をする月とされています。この月の誕生石は「紫水晶」という日本名で呼ばれる、その名の通り美しい紫色のアメシストです。

「真実の愛を守りぬく宝石」とも呼ばれ、恋愛成就の効果があるとして人気の高い宝石のアメシスト。バレンタインデーにもぴったりです。果たしてその紫色の輝きの中には、どんなパワーが込められているのでしょうか。

もっとも高貴な色とされてきた紫色

アメシストの特徴でもある紫色は、古来より世界各国で高貴な色とされてきました。キリスト教ではアメシストは「司教の石」と呼ばれ、宝石をはめた指輪が儀式に用いられたと言われています。同様に、ユダヤ教でも胸当てにアメシストを飾って儀式が執り行われたそうです。現代でもイギリス王室でロイヤルパープルが用いられるなど、「紫色=高貴の色」という考え方は健在です。

日本でも、紫はもっとも高貴な色としてとらえられてきました。象徴的なのが、聖徳太子が定めた冠位十二階。冠位十二階とは、朝廷に仕える臣下を6つの位(徳・仁・礼・信・義・智)に分け、さらに大小の区別をし、合計12の等級に分けた日本最古の冠位です。それぞれの等級に色が付けられていたのですが、最も高貴とされる「大徳」は濃い紫、「小徳」は薄い紫だと知られています。「最高位の色=紫」という考えは、日本の歴史をさかのぼれば、飛鳥時代から続いていたということになります。

少女アメシストの悲しく美しい物語

「アメシスト」という名前の由来となった、ギリシャ神話の1つのエピソードをご紹介します。

お酒を飲んで酔っ払っていた酒の神バッカス。彼は酔った勢いで「今からここを通る人を猛獣に襲わせよう」と悪だくみを思いつきます。そこに運悪く通りかかったのが、月の女神の女官アメシスト。彼女は女神の神殿に向かう途中でした。バッカスは思惑通り、猛獣をアメシストへとけしかけます。今にも襲われそう!というときに、異変に気づいた月の女神。彼女はとっさにアメシストを純白の水晶に変えました。おそろしい猛獣からは逃れられたものの、人間だった少女は姿を変えてしまったのです。

酔いから覚めたバッカスは自分が犯した罪の大きさを知り、深く反省します。そして、彼がかつてアメシストだった水晶に、ぶどう酒を注ぎながら詫びたところ、たちまち水晶は透き通った紫色に変わりました。この物語から、美しい紫色の宝石が「アメシスト」という名前になったといわれています。

レオナルド・ダ・ヴィンチも一目置いたアメシスト

アメシストの語源はギリシャ語の「アメテュストス」やラテン語の「アメテュストゥス (アメチュストス)」で、どちらも"酒に酔わない"という意味があります。先ほど登場したバッカスがお酒の神様で、その神様の酔いを覚まし改心させたということから、アメシストには古くから「酒酔いを防ぐ力が宿っている」と考えられていました。

かのレオナルド・ダ・ヴィンチも「アメシストは邪悪な想念を霧散させ、知性の働きを活発にする」という言葉を残し、好んで身に着けていたと言われています。人類史上、最も多才であったといわれる彼も、アメシストの魅力に惹かれた一人。酒酔いを防ぐことから、冷静な判断ができると信じられてきたのです。

一方で、キリスト教の聖バレンタインも身に付けていたことから、冒頭でも書いたように「真実の愛を守りぬく宝石」とも呼ばれています。恋に落ちながらも冷静さを忘れず、気持ちが穏やかに保つことで真実の愛となる。クールな青と情熱の赤が混ざった紫は、アメシストにこそふさわしい色といえそうです。

アメシストのお手入れ方法

アメシストはデリケートな宝石です。長く愛用するために、日ごろから丁寧なお手入れを心がけましょう。

普段のお手入れ

柔らかい布で全体をやさしく拭きます。

特別なお手入れ

中性洗剤を溶かしたぬるま湯にアメシストを入れ、柔らかいブラシでやさしくこすって洗いましょう。終わったら真水でよくすすぎ、柔らかい布で水気を拭き取ります。

お手入れの注意点

・日光によって宝石が変色、退色することがあります。保管時は長時間日光が当たる場所を避けて箱にしまうなど、保管場所・保管方法に気をつけましょう。
・繊細な宝石のため、着用時・保管時にぶつけたり落としたりしないよう注意しましょう。

高貴な色として人々を魅了し続けてきた紫。アメシストは、その紫色の輝きで身に着ける人に品と美しさを与え、冷静さをもたらしてくれます。いつものファッションに気品をプラスしたいとき、気持ちを落ち着かせたいときは、アメシストのジュエリーを選んでみてはいかがでしょうか。

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